僕の会社がテレワークはじめました

とある広告代理店が、事務所引き払って完全テレワーク化、その準備と実行、そして感想の全記録!

7 まとめ〜3か月たって思うこと

 

生活篇

出不精の人間はますます出不精になる!

テレワークライフは僕にはわりと向いているようです。基本的にひとりで黙々と働くのが好きだからだろう。あと、家が好き。お茶を沸かしたり、家の細かい仕事を休憩代わりにしながら(ちょっとガスレンジ磨いたり、洗濯物を取り込んだり)、働けるというのは、家事好きにはありがたい環境だ。

 しかし、当初は不安だった。起床時間のズレこみから分かる通り、そんなに自己管理がきっちりできるタイプの人間ではないからだ。フリーランスライターだった奥さんの仕事を見ていて、よく自分で決めて起きて、締め切り守って働けるよなあ、と感心していたくらいなので、会社に通勤するという枠がはずれたら、自分がどれだけだらしなくなるか、不安だった。

 今のところは「働きすぎが悩み」という状況で、いちおう杞憂に終わっている。これで起床時間を一定させられれば、合格だと思う。できないけど。

 しかしこれも、今、たまたまものすごく忙しいから、というだけのことだ。締め切りを抱えていれば、どんなに怠惰な人間でもやらざるを得ない。僕の自己管理問題は、この先仕事が暇になったときに再び現れるだろう。

 しかし、通勤時代の、「毎日外に出るのが当たり前」がなくなると、それなりに弊害も出てくる。

 たった週に一度、ミーティングに出ればいいだけかあ、これはとんでもなく楽になるなあ、と喜んでいたが(実際は週に1~3度は業者さんやお得意さんとの打ち合わせで出てるのだが)、実際始めてみるとこの週に1度の出勤がとんでもなく面倒くさい。

「毎日出かけないのが当たり前」になってしまったからだ。

 たとえ、週に数回お客さんとの打ち合わせに出たとしても、週1のミーティング出勤が苦痛なことは変わりない。雨なんか降ってたら、もうお手上げ。うんざりしながら支度しなければならない。テレワーク前の予想では、「これは楽だな♪」とスキップして出かけるのかと思っていただけに、憂鬱倍増。まあ、これにもそのうち慣れるとは思いつつ、テレワークのおかげで出不精に拍車がかかった、というのは事実だ。

 しかしこれは性格にもよるのかもしれない。社交的で外出好きな人は、週に一度の出勤日、うきうきして出かけるのかも。僕は家がいちばん好きなので、苦痛なだけなのかもしれない。

 

意識して「切り替える」作業が必要

 そして、仕事中も家、仕事が終わっても家、という、「場所の切り替え」ができないことも、人によってはストレスというか、鬱屈の原因になるかもしれない。「仕事が終わった区切り」は、意外に重要なのかも。ずーっと同じ場所にいると改めて思う。これがネックになるなら、スタバなり図書館なりリージャスなり、どこか別の仕事場を作らなければならない。

 僕は最近、仕事が終わると風呂に入るという方法を見つけました。7時に入るなんて、早すぎて調子狂いそうですが、やってみると切り替え作業としてはうってつけです。以前は、ずるずると仕事や漫画鑑賞で起きていて、あげく面倒くさくて風呂に入らず寝てしまい、翌朝怒られるということを度々繰り返しているので、仕事終えたらまず風呂、というのは入り忘れを防ぐためにも有効かも、です。

 

テレワークを機に、家族との関係を見直す

 さらに重要なのは、家族とどれだけ仲がいいか、ということ。今までの二倍も三倍も顔を合わせることになって、よかったねと喜べるか、鬱陶しいなとうんざりするか。残念ながら、そんなに密着していたくない、という向きには、週の半分以上リージャスに通うなど、やはりなんらかの対策が必要になるでしょう。

 テレワークにうつるときは、仕事内容や社内のことに集中しがちだが、家族の行動スケジュール、家の間取りもよくよく考えるべきです。ほんと、間取りひとつで家族関係がまったく違うものになるのです。

それでは!

テレワーク化して新しい仕事人生を始めようという方の役に立てればうれしいです。

また半年後、1年後と、変化、節目があるたびに更新予定です。

 

 

6実行篇 テレワーク開始後に感じた不具合いろいろ

テレワーク開始後に感じた不具合いろいろ

怠ける人は必ず出る

 とにもかくにも勤務態度、でしょうか。「あの人、ほんとに働いてるのかなあ?」と思われてしまう人が、どうしてもひとりやふたり、出てきてしまいます。「ちゃんとやってくれるだろう」という性善説に基づいて始めましたが、まあ、そんなにうまくいきません。「申告すれば買い物等もOK」とは言ったものの、それにしても離席が多すぎる人がいる。そして上がりは遅い。

それじゃあ「性悪説」にのっとるしかないのか…

SNEEK導入か?

 ということで浮かんできたのは、SNEEKというアプリ。1分ごとに、働いてる様子のスクリーンショットを撮ってくれるアプリ。「すっぴんで働いてるから嫌」「ちらかった部屋が垣間見られるのも嫌」という人には、モザイクをかけることもできる。要は画面の前にいるかいないかが知りたいだけだから、これでいいのだ。しかし本アプリ導入を社長に相談したら、「それはプライバシーの侵害では?」と苦い顔。まあ、僕はいいですけどね…。

以下の記事はSNEEKを詳しく紹介してくれています。

yang8.hatenablog.com

活動報告はもっと細かく!

 そういうわけで、活動報告をもっときっちりさせないと、というのも課題になります。「Nさん、なんとなく以前より仕事のあがりが遅いんだよね…」というモヤモヤしたものを抱えていてもしょうがないので、その日、どれだけの時間をかけてどれだけのことをしたのか、をきちんと書き起こしてアップし、後日検討できるようにしなければ。

 

時間割体裁にして、9時〜10時30分 ○○のレイアウト作成 

         10時30分〜33分 ○○社 △△さんと〜の時間を決めるために電話

 

 のように、細かく書いて、毎日必ず日報を出してもらうことにしました。

 

 電話転送サービス不要?

 会社としての体裁を保つために電話受付業務と電話転送サービスを頼んだわけですが、日がたつにつれ、「これ、いらなくね?」という気分が充満してきています。別に直接携帯で連絡しあえばいいわけですから。転送サービスは3人にまでしかしてくれないから、他のパートさんたちにかかってきた電話は、必ずこちらから折り返さなければならないという手間もかかるし、お客さんたちから、不審がられることも多いのです。「えーと、あの電話に出た人、社員さんじゃないですよね?」みたいな。やっぱりなにかしら不自然なものが漂うようなのです。僕としては、はやくやめませんか?という感じです。

 

週1リアルミーティングは不要?

 やはり、まめに顔を合わせておかないと、ということで週1でランチ兼ミーティングが行われているわけですが、顔を合わせたところでなにがあるわけでもなし、というのが僕の率直な意見です。なのでこれもはやく撤廃したいです。

 まあ、僕は基本的に人とのふれあいを全然重視しない氷のような男なので、そんなふうに考えるのかもしれません。そこを踏まえて聞いていただきたい意見なのですが、別にSkype会議もしているわけだし、もちろん必要があれば全然会う意義はあると思うのですが、ただ「顔を見ておく」ためだけに出ていく必要はないのでは、と思います。

 このミーティングをランチ兼用にしてしまったことも、大きな過ちでした。「みんなのようす」にも書きましたが、誰もかれも、「飯食いながら仕事の打ち合わせなんかできるか💢」と不満を述べています。しかもこのランチ時間が1時間45分と決められていて、長い! 長すぎる! もうはやく帰って仕事したいよ!

 

 Skypeで「ちょっと聞く」のは意外と不便

 ちょっと聞きたいことはSkypeで、ということになっていたが、正直、不便です。メールより聞きやすいという点でSkypeになったのだけど、相手が机の前にいないと意味がなく、机の前にいるかどうかがいまひとつわからない。なので、「ねえ、あれってさ…」という小さな疑問&質問にさくっと回答がもらえないというストレスがたまる。テレワークのデメリットのひとつですね。

iPhoneのメッセージでやりとりすれば?という意見も出たのですが、なるべく内容をオープンにしたいので、Skypeのままいきたいんですよね…。解決策はまだないです。

僕個人は、慣れの問題だと思っているので、必死で解決策を探してはいないのですが…。

 

とりあえず、開始3か月後で感じたことは以上です。これからもちらちら出てくるとは思いますが、少しずつ、妥協しつつ、探りつつ、改善していくしかないですね。

 

 

 

5実行編〜みんなの場合

みんなのようす 

それでは、同僚たちはどんなふうにテレワークライフを満喫しているのだろうか? 話を聞いてみた。

 

 

1デザイナー、Nさんはほとんど仕事してないことが発覚

「Nさんはたぶん、全然仕事していません。スカイプが、だいたいオフラインになっているんですよね。パソコンの前にいないから、すぐスリープになっちゃうんだと思います。実際、頼んでいた仕事も全然あがってこないし」

 という苦情が、テレワークを始めて2か月後、デザイナーチームのリーダーKさんから入った。どうしたもんかと頭を抱えている。

 

 

 

デザイナーはさぼりがち

 テレワークでばりばり働くか、怠けるか、は業種によることが大きいのかもしれない。僕のような営業系は外のお客さんとの締め切りを抱えているから、家だろうが会社だろうが、とにかく期日に間に合わせなければならず、さらに打ち合わせだのなんだのでしょっちゅう外出するから、怠けている暇がない。

 しかし社内の仕事をずっと家でやり続けるデザイナーは、メリハリがなくなりがちなのだ。これはかなりの自制心が必要なようで、Nさんも舌を出してテレワークライフを満喫しているのでもないらしい。「あたし、嫌です、テレワーク。外に出勤したいです」と言っていたので、もんもんとしながら家でサボっているのだろう。

 

2デザイナーのリーダー、Kさんはストレスをためている

 そのNさんへの苦情を訴えているKさんは、テレワークをわりと気に入っているようだ。出勤がなくなってうれしい、と言っている。しかし、Nさんはじめ、部下5人の仕事が、どれもこれもいまいち捗っていないことにいらいらしている。なにしろ始めての状況で、こんな場合、どのように対処していいか五里霧中。それがよけいKさんのストレスを増しているらしい。

「Nさんに、あんた仕事してないよね、と言うわけにもいかないし…でも、絶対してないし…いつあの仕事はあがってくるのか…ああ、いらいらする」

 

3専務、Hさんは奥さんと密約を結ばされた

 Hさんは仕事部屋を作り、個室で作業できる恵まれた環境だが、テレワーク開始か月後、奥さんに一方的に条約をつきつけられた。その内容は、パートタイマーである奥さんの休日の日(平日)は、Hさんは必ず外出しなければならない、というもの。Hさんは奥さんが休みの日は、ドトールやスタバなどで仕事しなければならなくなった。

 さらに、土日は出勤している奥さんにかわって食事作りもHさんが担当している。が、Hさんは料理が好きらしいので、これは別にいいのか。

 個室にこもって仕事することすら許されないHさんに、僕はとても同情している。しかし多くの夫婦はこんなものなのかもしれない。

 

4経理のTさんは太り気味

 経理のTさんは、通勤時間がないのが楽で、休憩時間扱いで子供の送り迎え、PTAの会合に参加できてできるのがよい、と喜んでいる。

「テレワークは自分に向いていると思う。ただ、やはりオンオフの切り替えがしにくく、仕事を終えても終わった気がしない。そして、間食が増えて太り気味なのが最大の問題」だという。

 

5デザイナーIさんは予想外に会社が機能しているので驚いている

「通勤時間を仕事にあてられることで、自分の時間を持てるようになり、うれしい、テレワークは向いていると思う」とIさん。帰宅時間も気にしなくてよくなったので、残業するにもストレスが少なくなった。しかし、土日もメールが気になるし、仕事が終わってもすっきりしないので、やはりなにかしらメリハリをつける作業及び環境がほしい、とも思う。さらに、リージャスから電話転送してくれるのは3人までで、自分はその中に入ってないので、電話が必ずこちらからの折り返しになってしまい、相手に負担をかけているのでは?と気がひける。

 そして、気軽に隣の席の人に聞けないので、コミュニケーションが取りづらい。確かにSkypeのチャットで聞けばいいのだけど、相手が席にいるかどうかがわからないから、タイプするのが億劫になる。

 あと、週に1度のミーティング兼ランチは、無意味では?ご飯食べながら仕事の話なんて集中できない。

 でも始まる前はかなり不安だったが、実際スタートしたらちゃんと回ってるから驚いている。

4 実行篇〜で、テレワークしてみたらどうなった? 僕の場合

勤務状況~僕の場合

そんなわけでとある秋の月の1日から(まあ10月なんですけど…)、新体勢勤務が始まりました。

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⇧僕の机まわり。

 典型的な1日のスケジュールはこんな感じです。

 

●起床時間

起床時間は一定しない。一定しなければ、と思うけれど、前日に根をつめて仕事してしまうと、どうしても翌朝は寝坊してしまう。通勤時代の起床時間は7時、テレワークでもこれが理想だが、実際は8時、8時半になってしまうことも多い。

 

●勤務時間

起きてすぐ。コーヒーを片手に、パジャマのまますぐ机に向かう。1時間くらいすると、奥さんが朝ごはんを作ってくれるので、机でそれを食べる。たまに食卓で食べる。

 その前後、休憩をかねて歯を磨き、服を着る。これがだいたい9時~10時半頃。

 

昼食は11時半~12時半の間。時間は奥さんの都合。僕は食べるのがすごく早いので、だいたい20分くらいで食べ終わるとすぐにまた机に向かう。とくに休憩をとらないのは、なにしろ締め切りに追われているから。

 でも、追われてなくても、たとえばソファでくつろいだりなどはしないかもしれない。一度くつろいでしまったら、もう帰れないという恐怖がある。そのままアマゾンプライムで映画とか観てしまいそうだ。

 

休憩

 そのままえんえんと仕事。煮詰まると、散歩に出かける。散歩は午前中にすることもある。時間はだいたい20分くらい。フラフープが趣味なので、ぐるぐる回すこともある。あと、片付け魔なので、仕事しながら視界の片隅に入っていくる“片付いてない場所”を片付けたりする。1日が終わると、だいたい部屋のどこかがきれいになっているので、奥さんが喜ぶ。

 

夕方

夕方には洗濯物を取り込む。ブラインドを閉じて部屋の電気をつけて、夜のターンダウン(?)も気分がリフレッシュしてよい。さて、夕飯までもうひとがんばり、とすこしやる気が出る。

 

終業

 終業の目安はだいたい7時。NHKの7時のニュースが始まると、そろそろお開きにしてビール飲もうかな、という気分になってくる。しかし当然ながら、追い込まれているときはもっとやるし、いったんビール飲んでご飯食べてテレビを観ても、また9時頃から再開したりする。そんなときは12時頃まで。

 自宅で仕事すると、えんえんとやってしまう。通勤がないぶん、疲れない。だから通勤時代よりも仕事してしまう。自分できっちり仕切らないと、ずるずるだらだら仕事してしまい、嫌な疲れがたまるので、気をつけたい。

 

みんなとのコミュニケーション

●電話会議

 本当は毎朝、朝礼のように全員そろって電話会議をすることになっているのだが、実際は週1~3回程度。誰がどんな案件を抱えていて、どう進めているのかは、たとえグループウェアスプレッドシートに書き込んでいたとしても、直接話して、不明点を補ったり等しなくてはならないので絶対に必要な作業。だが、画面を通して会話すると、どうも熱意が伝わりづらい。同じことを言うのでも、じかに会っているときは一度言えばすむことを、2度3度と言わなければいけない…ような気がする。

 さらに、うちの社長は長い話を重んじるタイプなので、同じことを言い方を変えて何度も繰り返すので、一回に1時間、ときには2時間くらいかかることもある。これは少し不毛だと思う。でも言えない。

 

 ●リアルミーティング

 実際に顔を合わせるミーティングは、毎週金曜日、レンタルオフィスしているリージャスのあるビルのレンタルミーティングルームで行う。一応、全員集合は昼ごはんの場で。その前に各々用事がある場合は、リージャスの打ち合わせ室で10時頃待ち合わせて作業したりもする。午後はそのまま、リージャスで仕事をして帰る。帰宅して仕事してももちろんいいので、午後は各自の自由。

 

 

 

●リージャスを便利に使う

 電話受付や住所借り、ミーティング時のレンタルルームとして使っているほか、数時間の仕事場としても活用できるのでリージャスは便利です。都内だけで30箇所以上あるリージャスが、会員であればどこでも利用可能。

 家の通信状況が悪い、家の人間関係が悪い、気が散る等、家では仕事しづらいとき、というのが誰しも必ずあります。そういうときのために、逃げ場になる場所を必ず用意しておくのが肝心です。レンタルオフィスでもいいし、カフェでも図書館でもいいと思います。

 僕の活用例は、例えば一週間、ずっと家で仕事してるときは、散歩&気分転換のため、家から徒歩15分のリージャスに出かける。もしくは、例えば11時からお客さんと都内のどこかで打ち合わせがあったりすると、帰りに近くのリージャスに寄って終業の18時まで仕事…という具合だ。ただ、場所によってレイアウトや雰囲気がかなり変わるので、当たりハズレが大きい。僕のお気に入りは中野です。有楽町は眺めがいい。虎ノ門は落ち着かなかった。お茶、コーヒーが飲み放題というのもうれしい。

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 ⇧リージャス中野の受付。

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リージャス有楽町。

 

家庭のようす

我が家は奥さんと二人暮らしで、奥さんは今、専業主婦なので家にいます。なので、僕がずっと家にいてどうなのかな?と思ったが、今のところ問題なし。ただ、

●たびたび電話がかかってくるので、そのたびに奥さんがテレビや音楽を消さなければいけないとか、

●奥さんもオンライン英会話などしているので、そのときにお客さんから電話がかかってきたりすると僕が慌てて玄関のほうに走っていく、

 等の厄介事はあります。

仕事部屋が個室ならばこんな問題は起きないのですが、うちは居間の片隅でやってるので…。

 朝昼晩と僕のご飯を作らなければならず、奥さんの仕事は増えたが、めんどくさそうなときは昼を外に食べに行ったりするなどして調整。近所のおいしい店の平日ランチに行けるようになったので、それはうれしい点。週末はランチをやってない店などがあるので。

 昼はやや離れたところでお互い作業する。とくに集中しにくいとか、そういうことはない。僕は小さな音でラジオをつけながら仕事する。

 でも、僕がお客さんにヘイコラしていたり、ぺこぺこと謝っている電話なども全部聞かれるので、まあ…わりと…恥ずかしい。

 

奥さんの声

「ひとりで過ごすのが好きなので、最初に「自宅勤務」と聞いたときは、正直どうしようかと思いましたが、実際やってみたらすぐこの生活に馴染んでしまいました。うちも若い夫婦ではないので、老い先にも限りがあり、一緒にいれる時間が増えてうれしい、とすら思います。朝から晩まで机にむかっている姿を横にして、さすがに昼寝もしずらいので、なにか有効なことをしようと、こちらもいろいろするようになりました。

 家事の好きな人なので、気分転換にちょこちょこ家事してくれるのはとてもありがたいです。あと、どんなふうに仕事しているのかが垣間見えておもしろいです。

 朝昼晩、家の食事になって、体にいいものを食べてもらえるのもいいですね。この生活になって痩せたと言っていました。でもときどき打ち合わせで外出すると、ちょっとホッとしてひとり時間を満喫してしまうのも事実なんですが…」

 

 

3 テレワークを機能させるために大事なこと

 

では、うまく実現するためには何に気をつけなければいけないか?

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アデコホームという会社の、テレワークに関する調査です。テレワークについて、一般的なメリット&デメリットがあげられています。

勤怠管理をきちんとしなければ

性善説で今までと同じ自己申告でいいが、例えば途中で買い物行くなら、きちんと申告してもらう等。買い物に行くことは禁止しない。

うちの勤怠管理はSkypeスプレッドシートです。
チャットで始業終業をそれぞれ告げてもらい、スプレッドシートに始業・終業・休憩時間を報告しています。

コミュニケーションを密にとる

iPhoneとラップトップPCを支給しました。
取引先とのやりとりや指導での電話代がかかるだろうし、自宅でなく外(カフェ)で仕事することもあるだろう、そのときに通信環境を整えるためです。
いつでもどこでも働いてもらうため、という捉え方もできますが…。

以前も使っていたが、グループウェアをさらに活用する

社内のメールをなくしたい。●●さんお疲れ様です等の挨拶を書くのが無駄で、いざあのときのメールはどこだっけ?と探すのは、かなり時間をとられることだと思う。 

チャットツールを活用

電話会議にもSkype。なにか聞きたいことがあるときも、メールより簡単に聞けるからSkypeを使う。(緊急度の高いものは電話で)
SkypeでなくてもHangoutやチャットワークなどのチャットツールであればいいと思います。

  

なぜ実現できたか?

コストパフォーマンス

クラウド化、およびモバイル化、情報を一元化、共有化、見える化をしようと思ったら、10年前なら数百万円以上かかっただろうが、今は無料や激安でできる。
無駄な挨拶が多く、案件が散らばりがちなメール、データが探しにくいエクセルの多用をやめる業務の効率化が、ほとんど無料でできるなんて、どうしてこれをやらないのか?

例えばプリンターなんかも、わざわざ家で買うこともなく、ネットプリントを活用すればいい、と思います。最近話題ネットプリント、PCで作った書類をセブンイレブンのプリンターで印刷するというものですが、使い勝手も抜群で、僕は以前から愛用しています。書類をドラッグすれば、暗証番号がiPhoneに送られてきて、あとは店に行って、その暗証を入れれば印刷できる。便利です。

 

 

トップの決断

うちの社長は、「外で見積もりが作れたり見れたりするのはいいねえ」というところに興味を持ち、クラウド化を決断しました。
トップや経営陣が興味を持つところは千差万別ですが、クラウド化を推進していった結果、うちの社長は、全社テレワーク化する前に東京から沖縄へと移住していきました。

役職呼称の廃止

もともとうちは“さん”づけだったのだが、これを期に明確に役職呼称を廃止することにした。
社長とか部長とかで呼んでいると、メールひとつ打つにも手間がかかりませんか。
必要以上に上下関係を意識させ、コミュニケーションのハードルをさげることができる。よって、風通しのよい社風を作ることができる。

抵抗勢力への対応

社内には必ず「テレワーク必要なし」「新しい取り組みに消極的」という人が一定数いる。
それを解消するにはトップが上からきっちり言う。
「ランニングチェンジで…」「とりあえずは既存方法と並行して…」ではなく、きっぱりとシステムチェンジをはかることが大事だと僕は思う。

 

まとめ〜なぜ必要なのか?

f:id:teleboku:20170315075123p:plain⇧テレワーク導入を支援するライフネスのサイトから。

 
人材維持に必要

うちにも小さな子どもを育てながら働くデザイナーが数人いる。
保育園も入りにくい昨今、働き方の多様化に対応した会社を作らないと、それを望む優秀な人材を逃すことになる。

会社存続に必要

テレワーク化により、フットワークを軽くしておき、つねに時代の流れに対応できる体勢を作っておく。
会社の頭と体を柔らかくしておくことが大事!

情報のリスクヘッジ

震災を経験して、重要書類等を一箇所に集めておくことの危険性を痛感しました。
それならクラウド化してあげておいたほうが安心では?

 

2準備篇〜具体的に何をしたか?

まずしたことは?

1 自宅環境調査

そもそも一番最初、「うちの会社、テレワーク化できるのかな?」と思って、社員さんたちにアンケートを取りました。
項目は

  • 自宅PCの種類、台数
  • プリンタの有無
  • ネット回線
  • Wi-Fi
  • 勤務可能な環境か?
  • その他(机や椅子はあるか? 近隣がうるさくて自宅で仕事はしづらい等)

 その他の項目では、

「モノを増やしたくないので、プリントはコンビニでまかないたい」
「私もモノは増やしたくないのですが、プリンターはやはり必要かも…」
「作業スペースが狭いので不安。椅子は購入しなくてはいけないかも。在庫等を置くスペースはありません」
「携帯電波が入りづらく、携帯メール受信不可」
「出力での校正チェックは必要だと思うので、プリンターが欲しいです。でもスペースに難あり…」

などの声が寄せられました。
プリンターがどうしても必要だと思われる人には、会社の経費で購入しました。回線不安定な人は、外(リージャスやスタバ)での時間を多く過ごしてもらっています…。

そして、快適に自宅で仕事できる環境にあるのかどうか、確認させてもらうため、自宅でのワークスペースの写真を撮ってきてもらいました。

 

2 リスト作りは必須

物品リスト

事務所内にあるものすべてを書き出し、●品名、●状態(社有かリースか)、●数量、●処分方法、●その手続き の項目でリスト化。

心配事リスト

テレワーク化にあたって、ふと湧いた疑念を、思いついた人が共有ファイルに書き込み、リスト化しました。

・電話応対はどうするのか? 
・勤怠チェックの方法は? 
・自宅勤務による光熱費増加分は会社で負担してくれるの?

ちなみに、うちは、月間の労働時間に応じて、テレワーク手当を支給することにしました。
 200時間以上→5,000円
 150時間以上→4,000円
 100時間以上→3,000円
 50時間以上→2,000円
 25時間以上→1,000円
 25時間未満→500円 

・社用車は継続か?廃止か?
本当はいらないけど、社長が個人的に使っている。でも本当はカーシェアで十分だと思う。

・書類に社判が必要な場合は?
「今度持ってきてください」と社長に言う。
社判がすぐに必要なことはあまりないから、これで今のところ平気。
もしくは、クラウドで印鑑のやりとりするサイトもある。今後必要なら導入する予定。

・重要書類の保管場所は?
社長の自宅にうつしました。倉庫かりてもよいが。

・名刺に印刷する住所はどこにする?
リージャスのレンタルオフィスの住所、電話番号。 

…等々。

 

3 事務所退去を大家さんに通達

 退去するとき、什器は残して退去する居抜きができないか大家に相談したが、結局、期日までに借り手がつかなかった。でも現状復帰するなら借りたいといってくれた方がいたので、大慌てで什器を処理。かかった日数約一週間。デスクなど大型家具はそのまま放置して業者に片付けてもらいました。

 大変だったのは書類の仕分け。

1捨てる 

2自宅に持ち帰る 

3社長の自宅に送る 

 の3つに分類。3週間くらいかけて少しずつ少しずつ進めました。大量の紙を捨てて、紙の書類がいかに場所をふさぐか、痛感。僕は個人的に、「紙、いらないよね?」派です。「最後は紙の書類で確認しないとだめじゃない?」という向きには、単なる慣れの問題でしょ?と異を唱えているので、なおさら紙不要論を強く確信しました。

 

4 顧客、業者に連絡

 顧客全員に「うちは来月からテレワークになります」とは連絡していません。さしあたり、どうしても話さざるを得ない人にだけ話しました。なので、あとになって「いや、実はうち先月からテレワークで、事務所ないんですよ」と事後連絡になるお客さんも結構いました。でもみなさん、こちらが思ってるほど大きな反応はなく、「あー、いいですねえ~」という声が多かったです。

「さぼっちゃわない?」が、必ず聞かれること。「でも忙しいんで、さぼれないんですよ」と答えています。実際、そんな感じです。

 

5 ヴァーチャルオフィスの契約

 電話受付業務、事務所の登記用住所(=名刺に刷る)を借りるためにリージャスと契約。電話受付と住所借りのほか、全国いたるところにあって、図書館的に使えるワークスペースがあり、会議用のスペースも借りれるので、便利に使っています。

 

6  iPhone支給

外で仕事するときの通信環境を整えるため、そして事務所電話の代わりとしてiPhoneを支給しました。

 

7 マルチディスプレイ

紙に頼っていると、テレワーク化は難しいです。
その紙(書類)の受け渡しが必要になるからです。でも、仕事環境がマルチディスプレイでないと、紙をなくした作業は厳しい。左の書類をみながら、右のPCに打ち込む的な仕事ができないからです。マルチディスプレイは確実に仕事の効率をあげます。
なので、うちではテレワーク化前から、全スタッフのマルチディスプレイ化は行っていて、自宅でもその環境を構築してもらいました。

 

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⇧僕のマルチディスプレイ

 

8ネットFAXの活用

これも“テレワーク化には紙不要”論に基づいています。
NTTのBizFAXを利用することにしました。これは契約した電話番号(うちの場合は、登記用に借りたリージャスの番号)に来たファクスをPDF化して、指定したアドレスにメールで送ってくれるというものです。
うちは、スタッフ全員のメーリングリストに送ってもらっています。

 

 

就業規則の整備

始業時間と終業時間は以前と同じ9時~18時で、昼休憩1時間。

テレワーク手当の支給。

申告すれば、買い物、子供の迎え等の中抜けはOK。

勤怠管理はなにかしらの仕組みが必要だとは言いながら、とりあえずは性善説(みんな、ちゃんと正直に働いてくれるであろう)にのっとったままスタート…。

 

では、いよいよ新体制スタートです!

1 順序を間違えるな! まずはクラウド化〜導入検討篇

Q どうしてテレワーク?

社員15人の広告代理店。
販売促進の企画やデザイン制作業務等を行っています。

僕を含め営業&企画が3人、デザイナーが7人。営業&企画はそれぞれ顧客をもち、案件を担当する。外出が多く、ささいな用事(事務所のデスクトップPCでないと見れない書類が見たい、とか)で事務所に戻らなければならない、などの点で効率が悪いと感じていました。
かたや、デザイナーは基本的にずっと事務所での作業。

業務を効率化するため、少しずつクラウド化していくうちに、渋谷の一等地に事務所を借りている意義はあるのだろうか?という雰囲気になってきたので、思い切ってテレワークにすることになったのです。

 

Qテレワークって、つまり…

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 ⇧こちらはネットオフィスという働き方を推進しているワイズスタッフという会社の画像。本社から、在宅でできる仕事を選んで在宅ワーカーに発注する‘従来型テレワーク’と、業務のほとんどをIT化して、通常のすべての業務がテレワークで行える‘ネットオフィス型テレワーク’の違いを明確に図にしてくれています。

僕の会社はまさにこのネットオフィス化を行ったのです。

Q そもそもなぜクラウド化したかった?

クラウド化とは、Gmailグループウェア、チャット、GoogleDrive、Skypeなどのアプリを活用し、コミュニケーションを活性化して、情報をオープン&シェアすることです。

すべての書類をクラウド化することで、みんなで情報をシェアすることができる。すると、例えば誰が、どんな案件を握っていて、その進行状況は、などがひと目でわかる。「あの人、そういえば以前、あれが欲しいって言ってたよ」「その案件すすめるなら、3年前に僕が作った企画書、使います?」等、助け舟を出しやすくなり、「知らなかったから」で起こる二度手間を極力排除できる。

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 ⇧こちらもワイズスタッフのサイトより。テレワークオフィスの業務の仕組みです。

 

 さらに、業務全体が見渡せると、他人と自分を比べることもでき、「思っているよりも、自分は案件抱えてないのか。もっと仕事やらないとな」とハッパをかけることになったりもした。そして、それにより、案件が増えた。さらに煮詰まったときも、他の人に相談しやすくなったとも思う。

 クラウド化した書類(顧客管理、請求書、見積書等)は、個人個人がエクセルで作った書類を持っているよりも、断然検索しやすく、データ&書類が埋もれるということがなくなる。「あれ、どこかのメールに書いてあったけど…」などの、検索するのが億劫な、だけど探せば絶対ある情報って、いっぱいありませんか?  

 

クラウド化ついでにCRMを導入した!

CRM(Customer Relationship Management)は、顧客情報を一元的に管理し、分析して顧客との関係強化をはかるシステムのこと。

これを導入することで、簡単に言うと、社内のすべての人が、すべての案件を同時に見ることができます。それぞれの担当がそれぞれの顧客を持ち、それぞれに管理する…という従来のやり方をなくし、オープン&チーム化することで無駄をなくすのです。

さらに顧客情報を単なるデータ化しただけのものが従来の管理方法だとしたら、そこから分析まで行うのがCRMです。

 顧客管理だけでなく、社員の日々の行動、案件の管理などすべて入力して、みんなで共有できるようにします。

例えば

  • 顧客管理
  • 案件管理
  • 見積書・請求書
  • 売上管理
  • 金管
  • 商品管理
  • 在庫管理
  • 集計と分析

これら全て、一度の入力ですべてのデータベース(行動予定表、案件管理、顧客管理…等々)に反映されるシングルインプット&マルチアウトプットが実現したら、社内の風通しはずいぶんよくなります。

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ソリッド システム ソリューションズ社のサイトにあるCRMの説明は、わかりやすいです。顧客情報をすべての部門で即座に見れるようにして、さらに分析も進め、より深く顧客と関わっていこうということですね。

 

詳しいことはこちらのサイト、営業ラボなど、どうぞ。
 うちはZOHOを使っています。このダウンロードページでは、CRMを解説した漫画が読めます!

 

会社の業務をテレワークにするなら、なによりもまず業務をクラウド化することが肝心です。
クラウド化し、モバイル化し、そのあとでテレワーク化、という順序です。

 

Q 導入効果としてはどんなことを見込んでいた?

  • 事務所家賃ゼロ
  • 通勤ゼロ
  • 集中力アップ
  • 取引先、仕入先への説明
  • 家族との時間が増える
  • どこでも働ける

このへんはみなさんご想像の通り、という感じですね。
では次から具体的に何をしたのか、お伝えします。